フルリフォームの減価償却|修繕費との違いと耐用年数の考え方

「フルリフォームをすると減価償却はどうなるのか、修繕費とは何が違うのか知りたい」というご相談をいただくことがあります。結論から言うと、建物の価値を高めたり使える期間を延ばしたりする工事の費用は「資本的支出」として、建物の耐用年数に応じて複数年に分けて少しずつ経費にする「減価償却」の対象になり、傷んだ部分を元の状態に戻すだけの工事の費用は「修繕費」として工事をした年にまとめて経費にできます。この違いは、賃貸物件を所有して不動産所得がある方や、フルリフォームをした住宅をいずれ売却する予定がある方にとって、確定申告の際に特に重要になります。ここでは埼玉県・東京都で施工実績を持つ、一級建築士事務所の市之瀬工務店が運営する「匠プラス」が、減価償却の基本的な考え方と修繕費との判定基準、賃貸物件や売却時の取り扱いまで解説します。制度の詳しい適用や個別の判断は税理士にご確認ください。フルリフォームに関わる税金の軽減制度はフルリフォームの税金、資金計画の立て方はフルリフォームローンの種類と選び方のページもあわせてご覧ください。

私たち、匠プラスについて

  • 匠プラスは、1968年創立の株式会社市之瀬工務店が運営するフルリフォーム専門店です。
  • 運営会社の市之瀬工務店は一級建築士事務所です。間取り変更・耐震・断熱まで住まい全体を見てご提案します。
  • 自社大工と信頼できる協力業者が連携し、細部まで丁寧に仕上げます。
  • 木造住宅耐震診断士が在籍しており、古い住宅の耐震面も含めて相談できます。
  • 埼玉県・東京都内で幅広く対応可能です。
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結論:フルリフォームの費用は「資本的支出(減価償却)」と「修繕費」に分けて考える

フルリフォームの工事現場イメージ

フルリフォームの費用が税務上どう扱われるかは、工事の内容によって次の2つに分かれます。

種類 内容の目安 経費にできる時期
資本的支出(減価償却の対象) 建物の価値を高める、使える期間(耐用年数)を延ばす工事 建物の耐用年数に応じて複数年に分けて少しずつ
修繕費 傷んだ部分や古くなった部分を元の状態に戻す工事 工事をした年にまとめて

フルリフォームは住まい全体を対象にした大規模な工事で、老朽化した設備や内装を元に戻すだけでなく、断熱性能や耐震性能を現在の基準まで高める工事を伴うことが多いため、費用の全部または一部が「資本的支出」として減価償却の対象になりやすいという特徴があります。ただし工事の内容によっては修繕費に当たる部分も含まれるため、実際の判定は見積書の工事内容ごとに行う必要があります。判定基準は次の章で詳しく解説します。

※記載の内容は2026年10月時点の情報です。税務上の取り扱いは工事の内容や物件の状況によって個別に判断されるため、最新情報は国税庁や税理士にご確認ください。

そもそも「減価償却」とは何か

減価償却の計算イメージ

減価償却とは、建物のように長期間使う資産を購入したり改良したりした費用を、購入(または改良)した年に一度に経費にするのではなく、その資産が使えると見込まれる期間(耐用年数)に応じて、複数年に分けて少しずつ経費として計上していく仕組みです。不動産所得や事業所得がある方が、賃貸物件や事業で使う建物について確定申告をする際に関係してきます。毎年の減価償却費を、その年の所得から控除していくイメージです。

自宅に住み続けるだけなら減価償却を意識する場面は少ない

自分で住むためだけの自宅は、所得を生み出す資産ではないため、所得税の計算上、毎年の減価償却費を経費として計上することは通常ありません。減価償却を意識する必要が出てくるのは、主に賃貸物件を所有して家賃収入(不動産所得)がある場合や、自宅の一部を事業用に使っている場合です。ただし自宅であっても、将来売却したときの税金(譲渡所得)の計算では、フルリフォームの費用が関係してくることがあります。詳しくは後の章で解説します。

耐用年数に応じて少しずつ経費にする「定額法」の仕組み

現在、建物の減価償却は「定額法」という、毎年同じ金額を経費にしていく方法で計算するのが原則です。何年にわたって経費にするかの基準になる「法定耐用年数」は、建物の構造によって国税庁が定めており、木造・合成樹脂造で22年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造で47年などと決められています。法定耐用年数は税務上の計算のための年数であり、建物が実際に住めなくなる年数を示すものではありません。構造ごとの耐用年数の詳しい一覧はフルリフォームで住宅の寿命は延びる?のページで解説しています。

「修繕費」か「資本的支出」かはどう判定する?

修繕費と資本的支出の判定を相談するイメージ

フルリフォームの費用を修繕費にできるか、資本的支出として減価償却の対象になるかは、主に次の2つの視点から判断します。

原状回復なら修繕費、価値を高める・耐用年数を延ばすなら資本的支出

老朽化した配管や古くなった内装を、元と同程度の性能・材質で復旧する工事は「原状回復」として修繕費になりやすい一方、断熱材の追加や耐震補強、設備のグレードアップなど、建物の価値を高めたり使用可能な期間を延ばしたりする工事は「資本的支出」として減価償却の対象になります。フルリフォームでは1つの工事の中に両方の性質が混在することも多く、見積書の工事内容ごとに、原状回復に当たる部分と、建物の価値を高める部分を分けて検討する必要があります。

金額が小さい工事に使える簡便な基準とフルリフォームでは使いにくい理由

1回の修理や改良にかかった金額が60万円未満、またはその建物の前年末の取得価額のおおむね10%以下であれば、判定が難しい場合に限り、修繕費として処理してよいという簡便な基準(形式基準)があります。フルリフォームは住まい全体を対象にした大規模な工事で、費用がこの基準を超えることが多いため、この簡便な基準だけでは修繕費として扱いにくく、工事内容に応じた個別の判定が必要になるケースが多くなります。

迷ったときは工事内容ごとに見積書・契約書で確認する

修繕費と資本的支出の判定に迷う場合は、工事を発注する前の見積書や契約書で、工事内容ごとの金額が分かるようにしておくことが大切です。確定申告の時期になって慌てないよう、フルリフォームを依頼する際に、どの工事が原状回復に当たり、どの工事が建物の価値を高める工事に当たるかを、施工会社や税理士に事前に相談しておくことをおすすめします。

賃貸物件のフルリフォームで減価償却を行う場合

木造の賃貸物件の構造イメージ

所有している賃貸物件(アパートや戸建て、マンションの賃貸用の部屋など)をフルリフォームする場合、資本的支出に当たる費用は不動産所得の計算上、減価償却費として毎年の確定申告で経費に計上します。

不動産所得の確定申告でどう扱うか

賃貸物件の資本的支出に当たる費用は、工事が完了した年にまとめて経費にするのではなく、その年以降、耐用年数に応じて複数年にわたって減価償却費として不動産所得から控除していきます。一方、修繕費に当たる費用は工事が完了した年の不動産所得からまとめて差し引けるため、同じ金額でもどちらに区分されるかによって、その年の所得税の額が変わってきます。

耐用年数は建物の構造によって決まる

賃貸物件の構造が木造か、鉄骨造か、鉄筋コンクリート造かによって法定耐用年数は異なり、減価償却の計算に使う年数もこれに応じて変わります。賃貸アパートの構造ごとの耐用年数や建て替え・売却との判断基準はアパートのフルリフォーム費用相場のページでも解説しています。マンションの賃貸用の部屋をフルリフォームする場合も基本的な考え方は同じですが、専有部分と共用部分の区分や管理組合との調整が必要になることがあります。

既存の建物に資本的支出をしたときの耐用年数の考え方

すでに所有している建物に資本的支出を行った場合は、原則としてその支出額を、本体の建物と同じ構造の法定耐用年数を適用して、新たに取得した資産として減価償却していきます。既存の建物がすでに法定耐用年数の一部を経過していても、資本的支出の部分には改めて同じ構造の法定耐用年数が適用されるのが原則です。耐用年数の適用方法には例外的な取り扱いもあるため、正確な計算は税理士に確認しながら進めることをおすすめします。

自宅をフルリフォームしてから売却する場合の「取得費」への影響

売却時の資金計画を確認するイメージ

自分で住むための自宅であっても、フルリフォームをしてから将来売却する予定がある場合は、工事費用の取り扱いが売却時の税金(譲渡所得にかかる税金)に影響することがあります。

資本的支出に当たる費用は譲渡所得の取得費に加算できる場合がある

住宅を売却したときの譲渡所得は、売却金額から取得費(購入時の価格など)や譲渡費用を差し引いて計算します。フルリフォームの費用のうち、建物の価値を高める資本的支出に当たる部分は、この取得費に加算できる場合があります。取得費に加算できる金額が増えれば、譲渡所得が小さくなり、売却時の税金を抑えられる可能性があります。

修繕費相当の費用は取得費に含められないことが多い

一方、原状回復に当たる修繕費相当の費用は、通常は取得費に加算できません。将来の売却を見据えてフルリフォームをする場合は、どの工事が取得費に加算できる可能性があるかを、工事の見積書や請求書を保管したうえで、売却の時期が近づいたら税理士に確認しておくと安心です。

フルリフォームの減価償却に関するよくある質問

減価償却についての質問に答えるイメージ

Q. 自宅に住み続けるだけなら減価償却の申告は必要ですか?

自分で住むためだけの自宅であれば、通常、毎年の確定申告で減価償却費を計上する必要はありません。減価償却が関係してくるのは、賃貸物件の不動産所得や事業用の建物がある場合、または自宅を将来売却するときの取得費の計算です。

Q. フルリフォームの費用の一部だけ資本的支出になることはありますか?

あります。フルリフォームは住まい全体を対象にする工事のため、1回の工事の中に原状回復に当たる修繕費の部分と、建物の価値を高める資本的支出の部分が混在することが多く、工事内容ごとに区分して判定するのが一般的です。

Q. マンションのフルリフォームでも減価償却の考え方は同じですか?

専有部分のフルリフォームであれば、戸建て住宅と基本的な考え方は同じです。ただし共用部分に関わる工事は管理組合の合意が必要になるなど、戸建て住宅とは別の手続きが必要になることがあるため、早めに管理組合や施工会社に相談しておくことをおすすめします。

Q. 確定申告で分からないときはどこに相談すればいいですか?

減価償却や修繕費の区分、確定申告の具体的な手続きは、税理士や税務署への相談が確実です。工事を依頼する施工会社に、見積書の工事内容を工事区分ごとに分けて発行してもらうと、税理士に相談する際にも判断がしやすくなります。

まとめ

税理士に相談するイメージ

フルリフォームの費用は、建物の価値を高めたり使える期間を延ばしたりする工事なら「資本的支出」として耐用年数に応じて減価償却し、原状回復にとどまる工事なら「修繕費」として工事をした年にまとめて経費にします。この区分は、賃貸物件の不動産所得がある方の確定申告だけでなく、自宅をフルリフォームしてから売却する方の取得費の計算にも関わってくるため、工事を依頼する前に見積書の工事内容を確認し、税理士に相談しておくと安心です。フルリフォームに関わる税金の軽減制度はフルリフォームの税金、資金計画の立て方はフルリフォームローンの種類と選び方のページでも解説しています。埼玉県・東京都でフルリフォームをご検討中の方は、自社の大工を中心とした施工体制で、減価償却や資金計画のご相談にも丁寧に対応する、一級建築士事務所の市之瀬工務店が運営する匠プラスまでお気軽にご相談ください。

市之瀬匠

この記事の監修

市之瀬 匠(いちのせ たくみ)

株式会社市之瀬工務店 代表取締役/一級建築士事務所

昭和43年(1968年)創業の株式会社市之瀬工務店で代表を務め、自社の大工とともに新築工事からフルリフォームまで手がけている。

運営者情報・会社概要を見る

  • 58年 創業からの歴史
  • 1名 在籍する一級建築士
  • 2,000件超 リフォーム施工実績
  • 22年 建築業界での経験年数
  • 1名 在籍する二級建築士
  • 4名 在籍する1級建築施工管理技士
  • 1名 在籍する1級建築施工管理技士補
  • 1名 在籍する宅地建物取引士

私たち、匠プラスについて

  • 匠プラスは、1968年創立の株式会社市之瀬工務店が運営するフルリフォーム専門店です。
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