
古民家のフルリフォーム費用相場|伝統工法の注意点と趣を活かす工事のポイント
祖父母の代から受け継いできた古民家や、趣のある日本家屋を購入した古民家を、この先も長く住み継ぎたいけれど、フルリフォームにどのくらい費用がかかるのか分からず一歩を踏み出せない、という方は少なくありません。古民家は築30年〜50年程度の一般的な「古い家」と違い、石場建てなどの伝統工法や土壁、太い柱や梁、土間・縁側・欄間といった独特の構造・意匠を持つ、築100年前後の日本家屋を指すことが多く、費用の内訳や工事の進め方にも古民家ならではの注意点があります。ここでは古民家フルリフォームの費用相場、伝統工法ならではの確認ポイント、趣や風情を活かす設計のポイントを、埼玉県・東京都で施工実績を持つ、一級建築士事務所の市之瀬工務店が運営する「匠プラス」がわかりやすく解説します。住まい全体の費用相場はフルリフォームの費用相場、フルリフォームの基本的な考え方はフルリフォームとはのページもあわせてご覧ください。築30年〜50年程度の一般的な古い家のフルリフォームは古い家のフルリフォームのページで、延床面積が特に大きい古民家・旧家の坪単価目安は100坪の家のフルリフォーム費用のページでも解説しています。
私たち、匠プラスについて
- 匠プラスは、1968年創立の株式会社市之瀬工務店が運営するフルリフォーム専門店です。
- 運営会社の市之瀬工務店は一級建築士事務所です。間取り変更・耐震・断熱まで住まい全体を見てご提案します。
- 自社大工と信頼できる協力業者が連携し、細部まで丁寧に仕上げます。
- 木造住宅耐震診断士が在籍しており、古い住宅の耐震面も含めて相談できます。
- 埼玉県・東京都内で幅広く対応可能です。
結論:古民家フルリフォームの費用相場は1,000万円〜3,000万円以上

古民家をフルリフォームする費用は、工事の規模によって1,000万円台〜3,000万円以上と大きな幅があります。水回りや内装を中心に、現代の暮らしに合わせて快適性を高める工事であれば1,000万円前後、耐震補強や断熱改修まで含めた本格的なフルリノベーションになると2,000万円以上、柱や梁を一度解体してから組み直す移築・再生レベルの工事では3,000万円以上になることもあります。建物全体をつくり替えるようなフルリフォームは「スケルトンリフォーム」と呼ばれることもあります。古民家は一般的な中古住宅に比べて延床面積が広い、あるいは伝統工法ならではの構造補強が必要になるケースが多いため、中古一戸建てのフルリフォーム(目安500万円〜1500万円)より総額が上がりやすい傾向があります。総額を左右するポイントは後半でご紹介しますが、どこまで性能を上げるか、どこまで趣を残すかのバランスで金額が大きく変わってきます。新築で家を建てるよりも費用を抑えながら、趣のある住まいへ生まれ変わらせられるのが古民家フルリフォームの魅力です。
※記載の金額は一般的な戸建住宅の場合の目安です。建物の規模や工事範囲、劣化の状況によって費用は変わります。
古民家ならではの注意点(耐震性・シロアリ・雨漏りなど)

古民家は日本家屋ならではの趣や風情がある一方、家族が不安なく暮らせるよう、フルリフォームを検討する前に確認しておきたい注意点もあります。中古住宅全般に共通する劣化に加え、古民家特有の構造にまつわる確認事項を押さえておくと安心です。
石場建てなど伝統工法特有の基礎・構造
古民家では、基礎と建物が固定されていない「石場建て」という伝統工法が使われていることが多く見られます。石場建ては地震の揺れを建物全体で受け流す構造とされますが、現在の耐震基準とは考え方が異なるため、コンクリートの布基礎につくり替えたり、壁に筋交いや合板を入れて強度を高めたりする耐震補強が必要になるケースが一般的です。1981年(昭和56年)の新耐震基準より前に建てられた、いわゆる旧耐震基準の古民家がほとんどのため、フルリフォームの際は耐震診断をあわせて行うことをおすすめします。国土交通省の資料によると、新耐震基準は震度6強〜7程度の地震でも倒壊・崩壊しないことを目安に定められています。伝統工法特有の構造体は、現行の壁量計算だけでは評価しにくいこともあるため、伝統工法の耐震性評価に詳しい建築士に診断してもらうと安心です。土台の沈みや傾きがないかも、あわせて確認しておきたいポイントです。
シロアリ被害や柱・梁の腐食
太い柱や梁は職人の手仕事が生きた古民家の大きな魅力ですが、床下や壁の中でシロアリ被害や木部の腐食が進んでいることがあります。木部が変色・脆弱化している場合はシロアリ被害に遭っている可能性があり、床下や小屋裏を解体してみないと被害の範囲が分からないことも少なくありません。柱や梁は入手が難しい貴重な部材でもあるため、骨組みのうち状態の良い部材だけを見極めて再利用する、あるいは一度解体して洗ってから組み直すといった方法で活かすのが、古民家フルリフォームらしい進め方です。
土壁・建具・配管など見えない部分の劣化
土壁や漆喰などの塗り壁は調湿性能に優れ室内の湿度を自然に調整してくれる一方、経年で崩れやすくなっていることがあります。砂壁・土壁の上にクロスを張る場合は下地調整に手間がかかり、一般的な洋室のクロス張り替えより費用が上がりやすい工程です。また浴室が昔ながらの在来工法(タイル張り)のまま残っているケースでは、ユニットバスへの入れ替えに想定以上の手間がかかることがあります。給排水管や電気設備も築年数相応に老朽化していることが多く、事前の建物診断で床下・屋根裏まで確認しておくと、資金計画の見通しが立てやすくなります。
古民家フルリフォームの流れ

中古の古民家物件を購入する場合も、代々受け継いだ古民家をそのまま活かす場合も、一般的な中古住宅のリフォームより確認すべき工程が多くなります。大まかな流れは次のとおりです。
建物診断・耐震診断
まず床下・小屋裏まで含めた建物診断と耐震診断を行い、柱や梁、土壁、基礎の状態、シロアリ被害や雨漏りの有無を確認します。古民家は図面が残っていないことも多いため、現地調査で建物の現状を実測しながら構造を把握していく作業が欠かせません。
設計・資金計画(補助金の確認)
診断結果をもとに、どこまで性能を上げ、どこまで趣を残すかを整理しながら設計・資金計画を進めます。田の字型に配置された和室の間取りを活かすか、広いLDK・ダイニングへ変更し家事動線や寝室の使い勝手まで見直すか、あるいは使わない部屋を思い切って減築するかは、二世帯で暮らすかどうかなど世帯構成や暮らし方の価値観に合わせて検討したいポイントです。耐震改修や省エネ改修を対象にした補助金・助成金を用意している自治体もあるため、対象となる工事内容や金額は制度によって異なりますので、詳細は自治体の窓口にご確認ください。
工事請負契約
設計内容が固まったら工事請負契約を結びます。柱や梁など構造にかかわる大規模な修繕・模様替えを行う場合、2025年4月の建築基準法改正により、木造2階建てなど一定の建物(新2号建築物)は建築確認申請の対象になります。工事の内容が申請の対象にあたるかどうかは、契約前に施工会社に確認しておくと安心です。解体して建て替える選択肢もありますが、愛着のある梁や柱を残せるのがフルリフォームならではの魅力です。
着工〜引き渡し
契約後は解体・耐震補強・断熱改修・内装工事の順に進み、完成後は施工会社による検査を経て引き渡しとなります。柱や梁を残しながらの工事は、一般的な中古住宅のフルリフォームより工期が長くなる傾向があり、全面的な工事では4〜6か月程度かかることもあります。工事期間中は仮住まいが必要になることが多いため、家賃や引っ越し費用もあらかじめ資金計画に含めておくと安心です。
部位・工事内容別の費用目安

古民家フルリフォームで、どこにどのくらい費用がかかるのか、部位・工事内容別の価格帯を見ていきます。
※記載の金額は一般的な戸建住宅の場合の目安です。建物の規模や工事範囲、劣化の状況によって費用は変わります。
耐震補強・構造補修の費用目安(目安150万円〜400万円)
石場建ての基礎をつくり替えたり、壁に筋交いや合板を入れたりする耐震補強は150万円〜300万円程度、シロアリ被害や腐食した柱・梁の補修まで含めると400万円程度になることもあります。構造部分は建物によって傷み方が大きく異なるため、診断結果次第で費用が変動しやすい部分です。
断熱・気密改修の費用目安(目安100万円〜300万円)
古民家は土壁や隙間の多い建具によって気密性が低く、断熱材が入っていないことも珍しくありません。床・壁・天井に断熱材を追加し、窓を断熱性の高いものに交換する工事は100万円〜300万円程度が目安です。夏は暑い、冬は寒いと感じやすいのも、気密性の低い古民家によくある悩みです。断熱材の追加やサッシの交換によって、夏の暑さ・冬の寒さをやわらげ、冷暖房にかかる光熱費を抑える効果も期待できます。
水回り(キッチン・浴室・洗面所・トイレ)の費用目安(目安150万円〜350万円)
キッチン・浴室・洗面所・トイレをまとめて入れ替える費用は150万円〜350万円程度が目安です。在来工法の浴室をユニットバスに入れ替える場合や、配管を全面的に引き直す場合は、さらに費用が上がることがあります。
屋根・外壁の費用目安(目安100万円〜300万円)
屋根の葺き替えや外壁の補修・塗装は、建物の外観・外装の印象を大きく左右する工事で、規模や劣化状況によって100万円〜300万円程度が目安です。雨漏りが起きている場合は、屋根の下地や垂木まで傷んでいることがあり、補修範囲が広がると費用も上がります。
古民家ならではの趣・風情を活かす設計のポイント

古民家フルリフォームの魅力は、性能を新築同様に高めながら、天井が高く風通しのよい歴史的な趣や風情を残せる点にあります。
梁や柱をあらわしにして意匠として見せる
建物の骨組みとなる立派な梁や柱は、天井を抜いてあらわしにすることで、職人の手仕事による継手・仕口を損なわずに、古民家ならではの意匠として空間の主役になります。吹き抜けと組み合わせると、太い梁が見上げられる開放的な空間になり、新築ではなかなか出せない存在感と佇まいを活かせます。
土間・縁側・欄間を活かす
土間や縁側、欄間、仏間といった古民家らしい要素は、現代の暮らしに合わせて手を加えながら残すことができます。たとえば土間に床暖房を設置して現代の暮らしに合う使い方にしたり、縁側から見える庭とインテリアを調和させたりすることで、昔ながらの趣を保ちながら心地よい快適性を両立できます。木や土といった自然素材ならではの味わいを活かしつつ、和の空間にモダンな家具を組み合わせて楽しむ事例もあり、欄間の意匠をそのまま残すケースも少なくありません。当時の建具を活かせるかどうかは、古民家フルリフォームならではの検討ポイントです。
薪ストーブなど現代の暮らしに合う設備を取り入れる
断熱・気密改修とあわせて、薪ストーブやペレットストーブ、床暖房、バリアフリー化といった現代の暮らしに合う設備を取り入れる事例も増えています。老朽化した設備を刷新し、薪ストーブがあれば真冬でも部屋全体が暖かい空間になります。古民家の雰囲気や構造に合わせた設備を選ぶことで、築100年を超えて住み継がれてきた住まいを、次世代の暮らしにも住める家として再生できます。
古民家フルリフォームで後悔しないためのポイント

限られた予算の中で、古民家の良さを活かしながら快適に暮らせる住まいに近づけるために、押さえておきたい工夫のポイントを3つご紹介します。
耐震診断・建物診断を必ず行う
古民家は図面や過去の改修履歴が残っていないことが多いため、フルリフォームの計画を立てる前に、耐震診断を含めた建物診断を必ず行うことをおすすめします。診断を省いて工事を進めると、着工後に想定外の劣化が見つかり、追加費用や工期の延長につながることがあります。急な階段や玄関の段差といったバリアフリー面の課題も、建物診断とあわせて確認しておくと安心です。
予備費を多めに確保しておく
古民家は床や壁をはがしてみないと分からない劣化が多いため、一般的な中古住宅のフルリフォームより予備費を多めに確保しておくと安心です。見積もり金額に対して1〜2割程度の予備費を見込んでおくと、想定外の補修が見つかった場合にも資金計画が崩れにくくなります。
伝統工法に詳しい会社を選び、複数社に見積もりを取る
石場建てや土壁、継手・仕口といった伝統工法への理解と施工技術を持つ会社を選ぶことが、古民家フルリフォームを後悔しないための大きなポイントです。見積もりの内訳が細かく示されているか、劣化状況の説明が具体的かどうかも、信頼できる会社を選ぶ際の目安になります。複数社からインスペクションを踏まえた見積もりを取り、工事内容と金額を比較することをおすすめします。
古民家フルリフォームに関するよくある質問

Q. 古民家と古い家(古家)は何が違いますか?
明確な年数の定義があるわけではありませんが、一般的に古民家は伝統工法(石場建て・継手・仕口など)で建てられた築50年〜100年以上の日本家屋を指すことが多く、在来工法や2×4工法で建てられた比較的新しい年代の住宅を指す「古い家」とは構造や工事の進め方が異なります。築30年〜50年程度の一般的な古い家のフルリフォームについては古い家のフルリフォームのページで詳しく解説しています。
Q. フルリフォームとリノベーション、何が違いますか?
明確な定義の違いがあるわけではなく、会社によってはフルリフォーム・フルリノベーション・スケルトンリフォームをほぼ同じ意味で使っています。老朽化した部分を新品に戻す工事を「リフォーム」、間取りや性能を新築時以上に向上させる工事を「リノベーション」と呼び分ける会社もあるため、依頼する会社に言葉の意味を確認しておくと認識のずれを防げます。
Q. 築100年以上の古民家でもフルリフォームできますか?
築年数だけでフルリフォームの可否が決まるわけではなく、柱や梁などの構造体(構造躯体)の状態が良好であれば、築100年〜150年以上の古民家でもフルリフォームは可能です。実際によく乾燥させた丈夫な柱や梁が使われている古民家は、この先数十年家族が安心して住む家として生まれ変わる耐久性を持つケースもあります。ただし劣化が大きい場合は、部分的な解体・再生を含めた検討が必要になるため、建物診断の結果をもとに判断することをおすすめします。
Q. 古民家フルリフォームで補助金は使えますか?
耐震改修・省エネ改修・バリアフリー化を伴う工事では、国や自治体の補助金・助成金を活用できる場合があります。制度の内容や対象となる工事、金額は年度・自治体によって異なるため、詳細は自治体の窓口や税理士など専門家にご確認ください。
Q. 古民家フルリフォームで固定資産税は変わりますか?
リフォームの内容によっては固定資産税額が変わる場合があります。増築や大規模な模様替えの有無など、影響は建物の状態や自治体の評価によって異なるため、詳しくは自治体の窓口や税理士など専門家にご確認ください。
まとめ

古民家フルリフォームの費用相場は、水回り・内装中心であれば1,000万円前後、耐震補強や断熱改修まで含めた本格的な工事であれば2,000万円以上、柱や梁を解体してから組み直す移築・再生レベルでは3,000万円以上が目安です。石場建てなどの伝統工法やシロアリ被害、土壁の劣化まで確認する必要がある古民家は、事前の建物診断と、伝統工法に詳しい会社選びが、趣や風情を残しながら後悔しないフルリフォームの鍵になります。築100年、120年を超える古民家であっても、趣を残しながら家族が不安なく暮らす住まいへ整えられます。祖父母の代から受け継ぐ古民家を次世代へ継ぐために、家族の歴史や価値を継承したい、といったご相談も歓迎です。埼玉県・東京都で施工実績を持つ、一級建築士事務所の市之瀬工務店が運営する「匠プラス」が、耐震性・断熱性までふまえた設計から自社の大工を中心とした施工体制まで一貫して対応し、過去の施工事例も参考にしながら丁寧にご提案します。古民家フルリフォームをご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
私たち、匠プラスについて
- 匠プラスは、1968年創立の株式会社市之瀬工務店が運営するフルリフォーム専門店です。
- 運営会社の市之瀬工務店は一級建築士事務所です。間取り変更・耐震・断熱まで住まい全体を見てご提案します。
- 自社大工と信頼できる協力業者が連携し、細部まで丁寧に仕上げます。
- 木造住宅耐震診断士が在籍しており、古い住宅の耐震面も含めて相談できます。
- 埼玉県・東京都内で幅広く対応可能です。